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Ch15.明日の夜、ここにいる


その日アンナが戻ったころ、城門ではちょうど衛兵が交代したばかりだった。


足早に道を進み、外套のフードを深くかぶっていた。だが顔は熱かった。夜風さえ熱いのではないかと思うほどに。


熱いのは夜風ではない。彼女自身がまだ、あの部屋から完全には抜け出せていないのだ。セイラン通りからここまで歩いても鼓動は落ち着かず、彼の最後の言葉がずっと耳の輪郭へ焼きつき、烙印のように消えなかった。


「君がはっきり俺を見て、それでも同じことを言うなら、そのときはもう止まらない」


自室へ戻り、寝台の縁へ腰を下ろして、暗闇の中で長いこと座っていた。

アディーが扉越しに二度声をかけた。何でもない、と答えた声は平静で、自分でも驚くほどだった。


けれどその暗闇に座ったまま、彼女はあの夜の細部を一つずつ取り出し、見返し始めた。

彼がどう止まったか。何を言ったか。彼女の手を元へ導いたあのやり方。隙間ひとつ見つけられない扉のように、揺るがなかった。


一度見返し、二度見返した。

最後には、向き合いたくない一つの結論を見つけてしまった。

彼は待つと言った。けれど、欲しいとは言わなかった。


彼女は暗闇の中で、その言葉を長く押さえつけた。空が白み始めるまで、あの夜の細部を頭の中でもう一度並べ替え終えるまで。先に動いたのは彼女だった。先に口づけ、先に欲しいと言い、彼の手を導き、彼の上へ跨った。


彼は受け身だった。

彼女に引かれるまま、ついてきただけだった。

そして彼は止まった。あれほど揺るがず、あれほど冷静に。彼女の体面を守って終わらせ、約束にも聞こえるが、最も優しい拒絶にもなりうる言葉を口にした。


彼女は寝台へ横になり、枕に顔を埋めて目を閉じた。

顔はまだ熱かった。だがその熱の性質は、この瞬間、ひそかに別の色へ変わった。


________________________________



それから三日間、彼女はセイラン通りへ一通も手紙を送らなかった。

わざと送らなかったわけではない。ただ筆を取り、白紙の羊皮紙を見つめるたび、手はその場に止まった。一服のお茶を飲み終えるほどの時間が過ぎると、結局は筆を戻し、何事もなかったように紙を畳んで机の隅へ置いた。


ただ、書くことがないだけだと自分へ言い聞かせた。

忙しいのだと。宮中の用事も、学業も、アディーが毎朝持ってくる細々とした予定の束もあるのだから、と。

あの夜は、ほんの一時のことだったのだと。


三日間そう言い続け、もう少しで自分でも信じられそうになった。


三日目の午後、回廊を歩いていると、庭の梔子の香りを風が運んできた。彼女の足が、前触れもなく止まった。彼の外套の匂いを思い出した。肩口へ顔を寄せたときの静けさを。その静けさの中では、何ひとつ計算せず、ただそこにいればよいと思えた感覚を。


すると胸の中で何かが縮み、痛いほど締めつけられた。


回廊に立ったまま、その痛みを強く押し込めた。うつむいてまた歩き出す。歩幅は速くも遅くもなく、何も起きなかった人のように。

だが袖の中で、手はひそかに小さな拳をつくっていた。


________________________________


一日目、ジェフリーは、彼女が忙しいだけだと思った。


わざわざ確かめるまでもなく自然に成立する事実のように、その考えを机の上へ置いた。


あの場所では、彼の目に見えない用事が毎日彼女を待っている。学業も、アディーも、宮廷全体から注がれる視線もある。手紙が来ないのは普通のことだ。彼は七年をひとりで歩いてきた。三日くらい待てる。


その日は遠くまで出歩き、城の南の市場へ行き、馬市を一周した。候補にしていた数頭を、もう一度黙って見比べた。戻るころには日が暮れていた。ゲ夫人の食卓につき、椀の中を残さず平らげ、二階へ上がって眠った。


ごく普通のことだ。


普通のことだ、と自分に言い聞かせた。


________________________________


二日目、その「普通」に小さな亀裂が入り始めた。


手紙を待っていたからではない。彼は待ってなどいなかった。


机で地図を見ているとき、目は確かに地図へ向いていた。指は南へ続く山道をたどり、頭では経路や時刻、それぞれの関所の細部を考えていた。


だが耳は、階段の音を聞いていた。


ずっと聞いていたわけではない。時折、階下で何か音がするたび、耳が無意識にわずかに動いただけだ。荒野で警戒を身につけた獣が、意識するより先に音を聞き分けるように。


ゲ夫人の室内履きの音。通りを荷車が過ぎる鈍い響き。隣の庭の猫。扉を叩く音ではない。誰かが何かを届けに来た音でもない。


午後のある瞬間、自分が何をしているのかに気づいた。


地図の途中までたどっていた経路から指を離し、掌を下へ向けて机へ平らに置いた。茶を半杯飲むほどの時間、静かにしていた。


それから地図を巻き、立ち上がって窓辺へ行き、窓を押し開けた。午後の風を部屋へ入れ、その風に頭の中を吹き抜けさせた。階段の音を聞こうとする耳が、少し静かになるまで。


その晩、彼は長いこと剣を磨いた。もう磨く必要がなくなっても、なお続けた。何かのための手段ではなく、その動作自体が目的であるかのように。


________________________________



三日目、亀裂は広がった。


どこから始まったのか、彼自身にも説明できなかった。ただその朝、起きて窓辺に座り、いつものように朝霧に浮かぶ城の輪郭を眺めていると、普段よりも長く目がそこへ留まった。自分が見つめているのは城ではなく、その中の一つの窓なのだと気づくほどに。その窓の向こうが今どうなっているのか、明かりがついているのか、誰かが灯りの下に座っているのかを考えていた。


彼はその考えを断ち切った。糸を一本切るように、迷いなく、きれいに。


だが断ち切ったあとには隙間が残り、直視したくない問いがそこからひそかに漏れ出した。いったん出てくると、胸の隅へ詰まり、追い出すことができない。


あの夜、彼は止まった。あれほど揺るがずに。

なぜ止まったのか、自分ではわかっていた。

わかっている、と自分に言った。よく理解している、あれが正しかったのだ、と。彼女は熱くなりすぎ、鼓動も乱れていた。続ければ、自分のほうに問題があるのだ、と。


そのすべてを理解していた。


わかっていた。


だが亀裂の中で彼が問い始めたのは、そのことではない。


この三日間、手紙が届かないのは彼女が忙しいからか。それとも、あの夜をもう一度見返し、二度とここへ来たくないと思う結論にたどり着いたからなのか。


問いが頭の中を一周しただけで、膝を置く指にいつの間にか力が入った。


その感覚を、彼は知らなかった。


心配とは違う。もっと重く、息苦しい。何かが手から滑り落ちようとしているのに、「行かないでくれ」と口にできない者の胸に、押し込められるものだった。


七年歩き、七年夢を見た。その間、一つの町にも、一本の道にも、一度眠った寝台にも、名残惜しさを感じたことはない。いつも何も残さず、身軽に去った。自分の時間を数えたことなどなかった。


今、彼は彼女のために数えている。三日目まで数え、首の後ろが強張るような数字にたどり着いた。


その午後、立ち上がって机へ行き、羊皮紙を取り出して広げ、筆を手にした。


白紙の羊皮紙を前に、長いこと座っていた。


筆先は紙の上に浮いたまま、何ひとつ書きつけられなかった。


いくつもの書き出しを考えた。だがどれも心の中で二歩進んだところで止まった。止まる理由はすべて同じだった。


今書こうとしている言葉を、自分に書く資格があるのかわからなかった。


あの夜止まったのは彼だ。「待つ」と言ったのも、冷静になってからまた来るようにと言ったのも彼だった。それなのに今、自分から手紙を送るとはどういうことだ。耐えられなくなったということか。あの言葉を、初めから最後まで守るつもりがなかったということか。


彼は筆を戻した。


羊皮紙をもう一度畳み、机の隅へ置く。立ち上がり、椅子を机へ戻して窓辺へ行き、城の方角で深く暗くなっていく空を最後に見た。


空は暗く、重く沈んでいた。星はなく、今夜は薄い雲が出ている。


ジェフリーはそっと窓を閉め、その方角へ背を向けたまま、しばらく動かなかった。ただ立ち、胸の中で燃え続けるものを燃えるに任せた。深く、揺るがず、煙ひとつ立てずに燃えながら、胸全体を熱く焼いていた。


やがて彼はうつむき、机の上のペーパーナイフを見た。

長いこと、その短剣から目を離さなかった。

短剣はそこに横たわり、何も語らない。何も語る必要がなかった。


ただそこにある。彼が毎朝一度は確かめる場所に、静かにある。それは彼女と同じだった。七年かけてようやく見つけ、それから数日もしないうちに、彼女のために時間を数えることを覚え始めた、その人と。


彼は手を伸ばして短剣を取り、胸元へしまった。振り向いて寝台へ向かう。


今夜はもう、そのことを考えないと決めた。

今夜は考えない、と自分に言った。


そして横になり、目を閉じて、深夜のセイラン通りの静けさを長いこと聞いていた。

その静けさの中で、自分がずっと一つの音を待っていたのだと気づくまで。扉を叩く音を。「彼女を待つ」と自分で言ったのに、なお耳を澄ませている音を。気づくと、彼はさらに強く目を閉じ、聞こうとする自分を力の限り押さえ込んだ。


________________________________



今夜の月はひときわ丸かった。だが黒い雲が何度も、その光を遮った。


アンナは浴場で温かな湯に浸かっていたが、身体はまだ冷たく感じた。病気なのかはわからない。ただ、その冷たさをどう言えばよいのか、本当にわからなかった。


湯を手でかき、身体へかけた。

その手が自分の身体へ触れると、あの夜を思い出した。彼の手を導き、自分の身体へ触れさせたのに、何ひとつ得られなかった夜を。


自分はふしだらな女ではない。決して、違う。

これまで、どんな男にも心を動かされたことすらなかった。

なら、やはり「拒まれた」のだろう。聞こえのよい言い方をすれば、彼女を思いやったというだけで。


そう考えるうち、胸がきつく捩れるように痛んだ。

三か月の期限から、すでに二十六日が過ぎた。自分の抵抗は本当に無意味なのではないかと、初めて感じた。今度こそ、きっかけをつかんだと思っていたから、なおさらだった。


うつむき、湯面にぼんやり映る自分を見て、ひとり呟いた。「どうせ拒むのなら……どうして、あの石壁のことまで調べようとしたの……」


そのすべてに、答えてくれる者はいなかった。

ただ、黒雲にゆっくり隠されていく月だけがあった。


________________________________


その夜、ジェフリーは眠れなかった。


一刻ほど横になり、今夜は眠れないのだとはっきり悟ってから、もう一度起き上がった。外套を羽織り、暗闇で少し座り、それから立って机へ行き、灯りをつけた。


灯芯に火がつくと、黄ばんだ光が小さな部屋の輪郭を再び描き、机の隅で三日間押さえられ、一文字も書かれていない羊皮紙を照らし出した。


彼はその紙を見た。


茶を一杯飲むほどの時間、座りもせずに立ったまま見つめた。外套はまだきちんと留められず、襟元も少し開いている。普段ならそんな格好はしない。だが今夜は細部に気づけず、意識のすべてが白紙へ向けられていた。


そして灯りの中で、あの夜を最初からもう一度たどった。


自分でも驚くほど細部まで覚えていた。彼女の眼差し。「でも、どう止まればいいのかわからない」という言葉。彼の手を導いた指が冷たかったか、熱かったか。彼女が跨った瞬間、身体の重みすべてが自分の脚へ落ちた感触。そして、彼が「こうじゃない」と言ったあとの表情。


彼はその表情の前で、長く立ち止まった。


あの言葉を口にしたとき、彼女の目の奥にあるものを見た。確かに見ていた。ただそれを、今は衝動的になりすぎている、冷静になるまで待つべきだ、と分類することを選んだだけだ。


今は、その判断が正しかったのかわからない。本当に彼女のためを思ったのか。それとも、どこから生まれたのか自分でもわからないためらいに、「彼女のため」という体裁のよい理由をつけただけなのか。


ジェフリーは掌を机へ押しつけ、うつむいた。

疑念が胸の中を巡り、喉を締めつける形へ変わっていった。


彼女から三日間、手紙が来ていない。三日だ。

七年歩いてきた間、自分に誰かの時間を数えさせた人はいなかった。日を数えて待たせた場所もなかった。いつも誰より身軽に去り、振り返ることすらなかった。


だが今は彼女の沈黙を数えている。一日、二日、三日。残された二か月と数日よりも、はっきりと数えている。


それが何を意味するのか、彼は知っていた。


ずっと知っていた。ただその理解を「彼女が冷静になるまで待つ」という言葉の下へ押し込めていた。解答を試験用紙の裏へ書き、表を向けて置いている者のように。


灯りの下で長いこと立っていた。灯芯が少し短くなり、火がかすかに揺れた。その揺れに呼び起こされたように、ようやく顔を上げて窓の外を見た。


今夜の月は丸い。だが黒雲がゆっくり流れ、丸い月の一角を隠しては開き、また隠した。月光は途切れ途切れにセイラン通りの石畳へ落ちる。冷たく、白い。それは、期待なのか何なのか彼にも言い表せない色だった。


彼は月明かりを見つめ、喉を一度動かした。


今、彼女がどこにいるのかはわからない。袖の中で握った拳も、温かな湯に浸かりながら寒さを感じていることも知らない。だが自分のことならわかる。誰よりもよく知っている。あの石壁へ何度足を運んだか、幾つもの夕暮れにあの隙間を測ったか、なぜそこへ行ったのか、何を測っていたのか、その寸法の向こうへ何を隠していたのか。


七年歩き、自分の時間を数えたことはなかった。


だが彼女のためには数えた。正確に、細かく。隙間がどれほど広がったか、石灰の色が古い壁とどれほど違うかまで、一つひとつ頭へ書き留めるほどに。


彼はふいにその考えを強く押さえた。窓台へ置いた指の関節がわずかに白くなるほど、強く。


振り返って机へ戻り、腰を下ろした。羊皮紙を開いて筆を取る。今度は考えすぎないようにした。「自分に資格があるのか」という問いに、再び口を開かせなかった。筆先を下ろし、一行だけ書いた。


「明日の夜、ここにいる」

それだけだった。宛名も、署名も、余計な一文字もない。


一文字でも増やせば、それで十分かと考え始める。そしてまた筆を戻し、机の隅へ押しやり、四日目の沈黙にしてしまうからだ。


紙を畳み、封蝋を押して机の隅へ置いた。

夜が明けたら送る。


それから灯りを吹き消し、暗闇に座った。窓の外の月光が雲の影を床へ映し、何度も移っていく。胸元からペーパーナイフを取り出して膝へ置き、親指で刃の背をゆっくり何度も撫でた。夜明けを待つ者のように。「待つ」と言ったあと、初めて自分から沈黙を破る朝を。


暗闇の中、顔には何の表情もなかった。だが鼓動は、いつもより少し速かった。


________________________________



その夜、アンナは眠れなかった。いや、三日間ずっと同じだったと言うべきだろう。頭の中で、あの日のことが絶えず繰り返されていた。


きっと、とてもみっともない顔をしていたでしょうね? 思わず自分へ問いかけた。

女として、きっとふしだらだと思われた。娼館にいる女たちのように。


いや、彼女たちを責めたいのではない。

あれは彼女たちの仕事だ。生きるために、自分から身体を使って男を誘っている。


では、自分は? 彼女たちにさえ劣るのではないか。

何のためにしたのだろう。目的など何もなく、ただ心のままに動いただけ。けれど今となっては、あまりに見苦しい。


見苦しすぎて、もうジェフリーに会いたいとさえ思えなかった。


どうせ、この三日間何の便りもないことが、答えなのだろう。

最後には、今夜眠るよう自分を無理に追い込むしかなかった。


________________________________



空が明るくなりきる前に、ジェフリーは起きた。


十分眠ったからではない。そもそも眠れていなかった。椅子にもたれ、一、二刻ほど浅くまどろんだだけで、窓の隙間が白み始めるまで、そのまま座っていた。


立ち上がって外套を整え、机の隅の手紙を見下ろした。手紙は静かにそこへ置かれ、封蝋は朝の光の中で濃い赤色をしていた。昨夜、自分自身へした約束のように。


彼は手紙を取った。あまりに素早い動きで、もう一度迷うための時間を自分へ一瞬も与えなかった。


階段を下りた。ゲ夫人はまだ起きておらず、台所は暗い。建物全体が、闇に残された最後の静けさに包まれていた。そっと扉を細く開け、身体を滑らせて外へ出る。扉を閉め、通りへ向かった。


セイラン通りの朝は、昨夜眺めた月明かりよりも冷たかった。石畳の冷たさ。まだ誰ひとり歩いていない、がらんとした冷たさだった。外套の襟を留め、手紙を持って、知っている使いの少年の家へ向かった。


城の東に住む十二歳の少年だった。初めて彼女へ手紙を送ったとき、ジェフリーが見つけた。選んだ理由は単純だ。少年は毎日、夜明け前から市場へ行き、父親の荷車を押す。宮殿の脇門近くを通るのは日課であり、荷車を押す子どもが扉の隙間へ何を入れたところで、誰も特に気には留めない。


彼はその扉を叩いた。


しばらくすると、眠そうな少年が扉を開けた。ジェフリーを見ると目が半分覚め、用件を察して手を差し出した。手紙と金袋を受け取り、うなずいて、また扉を閉めた。


ジェフリーは路地に立ち、閉じた扉をしばらく見つめた。


手紙は、送られた。


その事実が胸の中へ落ちた。軽いのか重いのか、自分でもわからない形になって。軽いのは、ようやく実行できたからだ。三日を経て、ついに沈黙を破った。重いのは、その手紙がもう手元にないからだった。あの言葉は今、別の人間の手にある。宮殿へ向かう少年の手の中にあり、もう取り戻すことはできない。


彼は向きを変え、セイラン通りへ戻った。歩幅は速くも遅くもない。だが外套のポケットへ入れた手の指が、無意識に空の内布を二度つかんだ。そこで自分の動きに気づき、指を開き直して、掌をポケットの中へ平らに置いた。


________________________________



部屋へ戻り、もう一度窓辺の椅子に座った。


空はすっかり明るい。階下では老いた鍛冶屋が最初の槌を振るい、その音が朝の空気を抜けて届いた。重く、規則正しく、この三か月、毎朝聞いてきたものと同じだった。


だが今日は少し違う。


今日は、たった一行の手紙を送り出した。そしてここに座り、届くかどうかもわからない返事を待ち始めた。


「届くかどうかわからない」という思いを、一度胸の中へ置いた。それが沈むに任せ、胸の底のどこか、表面に浮かんで絶えず意識せずに済むところまで沈めた。


彼は昔からそれが得意だった。自分ではどうにもできないことを考えずにいることも、待つことを別の形の準備に見せかけることも。


だが今度は、きれいには沈まなかった。


視線が机へ落ちる。ペーパーナイフの隣、先ほどまで手紙が置かれていた空白へ落ちたまま、長く動かなかった。


やがて目を閉じ、深く息を吸い、ゆっくりと吐いた。


「彼女は、『私にもわからない』と言った」


「どうすれば止まれるのかわからない、と言った」


「俺の手を導いたのは、彼女だ」


その三つを順に取り出し、頭の中へ平らに並べた。信頼できる事実を一つずつ確かめ直す者のように。すべてが真実であり、自分の独りよがりでも、何気ない仕草に存在しない意味を読み込んだのでもないと確かめるために。


すべて、本当だった。

本当だと、彼は知っていた。


なら、この三日間の沈黙は答えではない。

彼女も彼と同じように、相手を待っている。


二人が同時に手を引き、相手が先に一歩動くのを待つ沈黙。その最も恐ろしいところは、沈黙そのものではない。退くつもりのない二人を、静かに正反対の方向へ連れていくことだった。


ジェフリーは目を開けた。


眉間の皺が少しほどけた。ほんのわずかだったが、固い地面を踏んだような感覚があった。問題が解けたのではない。ただ、自分が立つ場所は空洞ではないと、ようやく確かめられた。


彼は外套の襟を整え、いちばん上の留め具をきちんと留めた。


それから手紙が届く時刻を静かに待った。来るかどうかわからない返事を待った。心の底の火を七年守り、待つことを恐れたことのない人のように、揺るがず待った。ただ左手の人差し指だけが、窓台の木目を、ごくかすかに一度なぞった。


一度だけ。


________________________________



朝早く、独特の扉を叩く音に、もともと浅い眠りしか得ていなかったアンナはすぐ目を開けた。


三回、間を置き、二回。

アディーの叩き方だった。


アンナの視線が動いた。自室の錠がまだ寝台脇の台にあり、棚へ戻されていない。昨夜はぼんやりして、扉に鍵をかけることさえ忘れたのだ。「入って。鍵はかかっていないわ」


いつもどおり、何の感情も見せずに答えた。


だがアディーが手に何を持っているかなど、思いもよらなかった。ただ日課どおり、今日の予定を確かめようとしただけだった。


「今日は、絵画の授業でしょう?」アディーへ話しかけながらも、心ここにあらずで天井を見つめていた。


アディーは入ると、そっと扉を閉めた。


いつものように部屋を見渡す。乱れた寝具で一瞬、棚へ戻されず寝台脇に置かれた錠でもう一瞬、そして多くを見抜きながら決して余計なことを言わないその目を、最後に王女の顔へ一瞬だけ止めた。


その顔は天井を見つめていた。取り繕うことさえ億劫になり、「何でもない」という薄い殻だけが残ったような表情だった。


アディーはすべてを見た。それでも一言も口にしなかった。


「絵画の授業です」平らな声で答え、小さな手帳を開き、今日の予定を読み上げた。「午前、西の広間で。先生は辰の刻の終わりにいらっしゃいます。あと一刻です」


話している間、もう一つのものを手にしていた。手帳と掌の間に挟んだ、きちんと畳まれた小さな紙包みだ。角には濃い赤色の封蝋が押されていた。王家が用いるどの紋章でもなく、硬い何かで無造作に押しただけの円だった。ひどく質素で、送り主が形式など気にもせず、手紙が届くことだけを求めたかのように。


彼女はすぐには紙包みを差し出さなかった。


寝台のそばに立ち、今日の予定をそのまま読み続けた。声は相変わらず平静で、ごく普通の朝にここへ立つときと同じだった。だが時折、天井を見つめる顔へ視線を走らせた。ごく軽く、素早く。観察することにも、機会を待つことにも慣れた者のように。


「朝食の支度もできています」アディーは続けた。「温かいうちに、どうぞ」


言い終えると、一秒だけ間を置いた。


それから手帳を閉じ、もう一方の手に持っていた紙包みを、寝台脇の錠のそばへそっと置いた。揺るがぬ手つきで、何でもない物を置くように、さりげなく。何なのかも、どこから来たのかも説明しない。ただ置いて背を向け、何事もなかったように窓辺へ行き、帳を少し横へ引いて朝の光を入れた。


光が寝台脇へ落ちた。


濃い赤色の封蝋が押された紙包みを、はっきりと照らし出した。


________________________________



同じころ、セイラン通り三号では、ジェフリーが窓辺に座っていた。


もう一刻近く、その椅子に座っている。外の老鍛冶屋が打つ槌の音は、途切れ途切れだったものから一定の響きへ変わった。階下のゲ夫人が朝食だと一度呼び、彼は返事をして下り、椀を空にしてまた上がった。そして再び座り、あの窓へ視線を戻した。


使いの少年が宮殿の脇門へ着くまでにどれほどかかるか、計算していた。急いで歩けば半刻もかからない。


門から中へ届けられ、そのあと彼女の手へ渡るまで。誰が受け取るのか。アディーなのか。彼女はすぐに渡すのか、それとも機会を待つのか。そこは計算できない。計算できないものを、彼は決して数えない。だが今はそれらが頭の中へぶら下がり、二本の指が長いこと音もなく窓台の木目をこすっていることにさえ、気づかなかった。


手紙はもう、道の途中にある。


一行だけ。「明日の夜、ここにいる」

三日間ためらった末に書けたのは、最も短い文だった。


ほかのどんな文でも、長く書けば、この三日間押し込めてきたものをすべて引きずり出してしまう。そうなれば、その言葉が本当に自分のものなのか、それとも三晩眠れなかったせいで生まれたものなのか、わからなくなる。


だから一行だけ書いた。


自分はここにいる、とだけ伝えた。


ジェフリーは窓の外から視線を戻し、膝の上のペーパーナイフを見下ろした。親指の側面を刃の背へ押し当て、そのまま止める。撫でず、ただ押さえていた。


待つ。

待ち方なら、昔から知っている。七年間繰り返し、一度も間違えたことがなかった。

だが今日、待つということの味は、これまでの七年に経験したどの待ち時間とも違っていた。


________________________________



アンナは身を起こした。最初は寝台脇の台にある手紙へ気づかず、ただ座ったまま、窓から差す日差しを身体に浴びた。起き上がると少し眩暈がした。三日間、まともに眠れていなかったからだ。


「アディー、授業を休めない?」弱々しく尋ね、片手で額を支えた。その問いには諦めが滲んでいた。この王宮では、すべてが自分の望みどおりになるわけではない。アディーに無理だと言われれば、おとなしく従うしかないのだ。


尋ねたあと、黙り込んだ。この数日まったく眠れないことを、その理由までアディーに話すべきか、迷っているようだった。


あの日戻ってから、何も起きなかったふりをして、王宮の中でどうにか息をつないできただけだった。


「休めない?」と聞いても、アディーはすぐ答えなかった。

振り向いて帳のひだを整え、光が均等に差し込むようにする。それから寝台へ戻って立ち止まり、額を支える王女をまっすぐ見た。その目には多くの言葉があったが、一つとして口には出さない。ただ一、二秒見つめ、それからわずかに頭を下げた。


「先生には、体調が優れないと伝えておきます」過不足のない、平らな声だった。厄介なことを最も小さな形へ畳み、軽やかに片づけるように。同時に、「本来なら望みどおりにはならないことを、私がそうなるようにします」という意味まで包み込んだ。王女は礼を言う必要も、説明する必要もない。


これまで何度も、彼女に代わってこうしたことへ対処してきた。いつ尋ね、いつ尋ねずにいるべきかを知っている。


今日は、尋ねない日だった。


アディーは寝台脇の薄い毛布を取り、一度広げて、王女の脚へそっと掛けた。話す声よりも軽い動きで、何かを驚かせまいとするように。それから身体を起こし、寝台脇へ一瞬だけ目を向けた。意図したとも言えないほど短い視線だった。だが立ち去る前、足が寝台のそばで一度止まった。その間にも何も言わず、ただ紙包みをほんの少し前へ動かし、窓からの陽光がちょうどその上へ落ちる場所へ置いた。


濃い赤色の封蝋が、朝の光の中で静かに燃えていた。


「朝食を用意してきます」扉へ向かいながら彼女は言った。「温かいうちに。すぐ冷めてしまいますから」


そう言って、またそっと扉を閉めた。隙間が合わさる音さえほとんどしないほどに。残されたのは陽光と、封蝋の濃い赤色、そして急に静まり返った部屋の空気だけだった。


あまりに静かで、寝台脇の木の上に置かれた紙包みの存在だけが、かえって少しずつ明瞭になった。いつかは必ず見つけられるものとして。


アディーが去り、部屋にはまた彼女ひとりだけになった。

胸の声を聞くには十分静かで、ひとりで考えすぎるにも十分だった。


かすかに痛む額を揉み、もう一度横になろうとした、そのとき。


目に入った。


手紙を見つけた。見覚えのある封蝋だった。だが今回は質素なだけではなく、どこか急いだ跡がある。見栄えなど気にせず、一刻も早く送り出そうとしたかのように。


アンナは手を伸ばし、手紙を取った。手はまだ少し震え、胸もきつく縮んだ。

まだ何を言うつもりなの? あの夜の拒絶だけでは足りなかったの?


手紙を持ったまま固まり、なかなか開けられなかった。どれほどそうしていたのか。アディーが朝食を盆に載せて戻るほどの時間が過ぎていた。


扉を開けて入った瞬間、アディーにはすぐ見えた。


盆には粥と小皿がいくつか並び、まだ湯気を立てている。それを手に入ってくると、寝台脇の低い卓へそっと置いた。顔を上げ、王女へ、紙包みを持ったまま強張る両手へ視線を落とした。


何も言わなかった。


椀と箸を静かに整え、粥を最も手に取りやすい位置へ移す。それから寝台脇の小椅子に腰を下ろし、共に待つつもりだと示す姿勢を取った。尋ねず、急かさず、ただ座る。動くつもりのない石のように。その沈黙で、ここにはほかの誰もいない、ゆっくりでいい、と王女へ伝えるように。


部屋は静まり、窓の外から遠い鳥の声が時折一つ、二つ聞こえるだけだった。


王女の手にある手紙。封蝋の円が親指の下にある。濃い赤色で静かに燃え、震える手に剝がされるのを待っていた。


アディーの視線は封蝋へ一秒だけ落ち、また王女の顔へ戻った。強張り、締めつけられたようなその表情には、三日間のいたたまれなさも、三日間の不眠もすべて詰まっている。彼女の睫毛がかすかに動いた。多くの言葉を飲み込み、ただ一つの動作だけを残した者のように。


彼女は手を伸ばし、粥の椀を王女へ少し近づけた。ごく軽く、ゆっくりと。


「温かいうちに」ほとんど息だけの、ごく低い声だった。「先に一口召し上がれば、手の震えも止まります」


手紙を見ることも、それが何なのかを言うこともなかった。その言葉を終えると、また目を伏せ、両手を膝へ戻し、背中の力をすべて抜いた。見つめられていると感じさせる圧力を、部屋からすっかり取り払うように。


残ったのは手紙と、開かれるのを待つ濃い赤色の封蝋だけだった。


________________________________



セイラン通り三号。


この時刻までに、ジェフリーはすでに一度外を歩いてきた。城の東へ行き、馬市まで歩き、そこで一刻の四分の一ほど立った。何頭かの馬には目も向けず、引き返した。


馬を見に行ったのではない。

自分でも、それはわかっていた。


セイラン通りへ戻ると、通りの入口の露店で、ゲ夫人が見るたび「そんなものでは腹の足しにならないよ」と言う小さな焼きパンを買った。歩きながら食べ終え、三号へ戻る。午前中ずっと窓辺で待っていた部屋へ戻り、腰を下ろして外套の裾を整え、もう一度窓の外を見た。


朝の光の中、城の輪郭はくっきりしていた。霧の日より、ずっとはっきりと。


彼はその輪郭を見つめた。右手の人差し指は窓台に置かれたまま、動かなかった。叩きも、こすりもせず、ただそこにあった。

だが目の奥の火は、どの日よりも表面近くで燃えていた。自分でさえ、その熱が眼窩の奥から外へ滲み出すのを感じられそうなほどに。すべてを抑えきれない、冴えきった、灼けるような眼差しになっていた。


彼は返事を待っている。

待つことなら、昔からできた。


だが今日は窓辺に座って半刻も経たないうちに、立って机へ行き、座り直し、また立って窓辺へ戻った。椅子へ座り、外套の襟の留め具を外し、また留める。それから両手を膝へ押しつけ、勝手に動かないよう、そこへ留めた。


彼はうつむき、その両手を見た。


七年の道を歩いてきた手だった。剣を握ってまめをつくり、いくつもの城門の幅を測り、数えきれない馬の骨格に触れ、彼女のために壁の隙間を測った。彼女の手を支え、頬を包んだ。それなのに今は膝の上に置かれ、何ひとつできず、ただ待つことしかできない。


ジェフリーは深く息を吸い、目を閉じた。その息をゆっくり吐き、待つという感覚を、もう一度胸の底へ沈めた。この七年で身につけた形へ戻すように。


彼は静かに待った。


彼の目の届かないどこかで、今まさに手紙が、静かに開かれるのを待っているように。



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Ioanna And Jeffery

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